IKEAを展開するIngka Groupは、サーキュラー(循環型)経済をテーマにした自社ポッドキャスト「Screw It」の最新エピソードを公開した。ゲストは、投資部門Ingka Investmentsでサーキュラー投資を統括するLukas Visser氏。10億ユーロの投資枠を通じて、循環型ビジネスの成長をどう後押ししているかを語っている。
Ingka Investmentsは2017年にサーキュラー投資のポートフォリオを開始し、使用済み素材をできるだけ長く活用し続ける事業を支援してきた。対象はプラスチック、木材、繊維、マットレス、食品の5分野で、現在はプラスチック、食品廃棄物、マットレスの3分野に投資している。Visser氏は、良いアイデアだけでなく、それを事業として拡大できる力が重要だと強調する。投資先の選定では、経営陣の実績と価値観、市場での地位、成長への意欲の3点を重視する。すでに黒字で運営されている成長企業を対象とし、単なる資金提供にとどまらず、組織の拡大や市場調査の共有などにも関与している。
具体的な成果として、オランダの再生プラスチック大手Morssinkhof Rymoplastは、投資後に生産量が倍増した。家庭から出るプラスチック廃棄物を、IKEAの製品「HÅLLBAR」向けの新素材に転換するなど、革新的な素材開発にも貢献している。マットレスのリサイクル企業も、投資後に取扱量が約5倍に拡大した。回収した素材の価値ある出口を確保するため、マットレスのフォームを新しいフォームの主原料に再生する大規模施設も整備し、バージンフォームの一部を置き換えている。
一方で課題もある。Visser氏は、再生素材には公平な競争条件がまだ整っていないと指摘する。再生プラスチック1kgあたり平均3kgのCO2排出削減効果があるものの、その価値は価格に反映されていない。同氏は消費者、政府、同業者などに影響を伝える活動を続けている。規制面では、欧州で新たな指令や法律が相次いで導入され、アジアの一部の国も欧州の仕組みを参考に制度整備を進めていることから、追い風を感じているという。ただし、同社は規制に頼らず、規制が遅れても成立する事業を選ぶ方針だ。
技術面では、プラスチックのリサイクルについて、溶かして精製する機械的リサイクルと、ポリマーをさらに分解するケミカルリサイクルの両方が必要だと述べた。大半は機械的手法で対応できるものの、再生材の含有率を最大限に高めるには、リサイクルが難しい素材向けにケミカルリサイクルが不可欠になるという。繊維はポリエステルと綿の混紡が多く、リサイクル技術の研究開発が進行中だ。木材は、これまで主にエネルギー利用されてきたが、製品への再利用に振り向けるチャンスが広がっているとみている。
また、Ingka Investmentsの長期的な視点も強みだと語った。市場の浮き沈みが大きい業界だからこそ、忍耐と規律をもって事業を育てる姿勢が求められるという。将来の展望として、「10年後には、製品に再生素材が含まれているかどうかが問われることなく、含まれているのが当たり前になっていてほしい」と述べている。自身の子どもたち世代は、前の世代より廃棄物への意識が高く、サステナブルな商品を選ぶ消費者として期待に応える必要があると結んだ。
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