株式会社坂角総本舖は、販売スタッフの制服をリニューアルし、2026年10月1日から新しい制服に切り替えた。看板商品の海老せんべい「ゆかり」が発売60周年を迎えたことを記念したものだ。対象は現在同社の制服を着用している店舗に限られる。
新しい制服は、販売スタッフへのヒアリングを重ね、約2年をかけて開発した。通気性と伸縮性を備え、動きやすく体形をカバーしやすい仕様としている。近年の気候変動への対応と、日々の働きやすさを目的に挙げている。
制服の見直しに2年をかけ、着用するスタッフから意見を集めて設計する進め方は、店舗を運営する側にとって参考になる部分がある。制服は見た目だけでなく、立ち仕事を続ける環境で着続けるものにあたる。素材の通気性や動かしやすさは、作業の負担に直接関わってくる。
気候変動への対応を理由に挙げている点も、近年の売場が抱える条件を反映している。夏場の店内は空調が入っていても、客の出入りが多い場所や厨房に近い売場では温度が上がりやすい。菓子の販売は百貨店の地階や駅構内といった人の流れが多い場所に置かれることも多く、同じ制服を長時間着る前提では素材の選択が効いてくる。
体形をカバーしやすい点を特徴に挙げている部分も、着る側の要望を踏まえたものと読める。制服は人を選ばず同じものを着る前提の衣類で、サイズや体形の幅に対応できるかが着用する側の負担に関わる。人材の確保が難しい状況では、制服への不満が働きにくさとして積み上がる場面もある。
ベースとなる「ゆかり」は、1枚の約7割が海老の身でできている海老せんべいだ。二度焼きの仕上げで香ばしさを引き立てている。1966年の命名発売以来、35億枚を出荷してきた。名古屋土産や贈答品として親しまれている商品だ。
商品の節目を制服の更新に合わせる形も、節目の使い方としては一案といえる。記念のタイミングでは商品やパッケージに手を入れる例が多いが、売場で接客する側の装いを変えれば、店頭の見え方がまとめて変わる。商品の変更と違い、扱う品目に影響しない点も進めやすさにつながる。
坂角総本舖は1889年創業で、2026年4月に創業137周年を迎えた。本社は愛知県東海市、代表取締役は坂泰助氏となる。