東神開発株式会社は、玉川高島屋S.C.を「食」「遊び」「くつろぎ」を軸とした次世代型SCへ進化させる計画を公表した。あわせてホームタウン構想「TAMAGAWA LOCO LIFE」を推進する。

計画は3つの区画に分かれる。本館地下1階の食料品フロアは2027年3月に第1弾がオープンし、6月にグランドオープンを予定する。売場面積は約7,000㎡で、工事は3期に分けて休業せずに順次実施する。南館10階と11階はいずれも2027年3月の開業予定だ。

この計画で押さえておきたいのが、南館10階と11階の配置だ。

11階には男性専用のサウナ施設が入る。面積は約1,000㎡で、サウナ室5室、浴槽4つ、外気浴・内気浴エリアを備える構成だ。

10階は「大人の遊び場」をコンセプトに、古着、雑貨、カプセルトイ、サウナグッズ、漫画、飲食などを集積する。既存資源のリユースも行う。

10階の品揃えにサウナグッズが含まれている点は、11階の施設と対応している。サウナを利用した客が、同じ建物の1階下でグッズを買える構成になる。施設で体験した直後であれば、必要なものや欲しいものが具体的に分かっている状態だ。

商業施設にサウナを入れる判断は、面積の使い方としては物販とは別の性質を持つ。物販の売場は面積あたりの売上で評価されるが、サウナは利用料と滞在時間で成り立つ。約1,000㎡という面積を物販に充てれば複数のテナントが入る一方、サウナであれば1つの施設になる。

その代わり、滞在の長さが変わってくる。買い物であれば数十分で済む場面もあるが、サウナの利用は入浴と休憩を含めて数時間になる。館内に長くいれば、飲食や買い物に使う時間も生まれる。10階に飲食を配置している構成も、この流れと噛み合う。

男性専用という設定も、客層に関わる部分だ。百貨店系の商業施設は女性客の比率が高い業態にあたる。男性が目的を持って来る施設を置けば、普段その館を使っていない層の来館理由になる。10階の古着やカプセルトイ、漫画といった品揃えも、物販の売場としては百貨店の従来の構成とは異なる方向だ。

食料品フロアの改装の進め方も見ておきたい。約7,000㎡を3期に分け、休業せずに順次実施するとしている。

食料品の売場を止められない事情は、商材の性質にある。衣料や雑貨であれば、改装の間は他の店で買う客も戻ってくる余地がある。一方、日常の食品は毎日の買い物にあたるため、休業の間に別の店で買う習慣がつけば戻りにくい。近隣の客が日常的に使う売場であれば、この影響は大きくなる。

3期に分ける構成は、その間も一部の売場を開けておく形になる。一方で、工事の区画と営業の区画を分ける運営は、動線の確保や騒音・振動への対応も必要になる。期間も長くなり、2027年3月の第1弾から6月のグランドオープンまで3か月が空く。

「食」「遊び」「くつろぎ」という3つの軸は、それぞれの区画と対応している。食が本館地下1階の食料品フロア、遊びが南館10階、くつろぎが南館11階のサウナにあたる構成だ。

軸を3つに分けて区画を割り当てる形は、館全体の役割を整理する組み立てになる。同じ館に来る客でも、食品を買いに来る層、遊びに来る層、休みに来る層は別になる。それぞれの目的で来た客が、他の階にも寄る流れを作れるかが運営の判断になる。

既存資源のリユースを行う点は、改装に伴う廃棄の扱いに関わる。商業施設の改装では内装や什器が大量に入れ替わるため、そのまま廃棄すれば量も費用もかかる。再利用する部分を設ければ、その分を抑えられる形だ。

東神開発は株式会社高島屋を親会社とする企業だ。

出典:東神開発株式会社 プレスリリース