SDRS株式会社は、自動販売機を月額利用料で試験設置できる「自動販売機トライアル導入サービス(お試し設置プラン)」の提供を開始した。本格導入の前に現場での売れ行きや収益性をデータで確認できる形で、同社は「無人化DXの裾野を拡大する」としている。
想定する顧客は、人手不足や人件費の高騰に悩む飲食・小売・サービス業、中小店舗、オフィス、工場、ホテル、アパレルなどだ。従来の販売代理店経由による機器購入は引き続き用意され、今回の月額制は新たな選択肢として加わる形になる。
対象の機器は3種類で、冷凍自動販売機「ど冷えもん」、衣料品やグッズ向けの物品自動販売機、実物商品を自由に展示できるディスプレイ付き自動販売機「デコマルチ」になる。機器と連携するクラウドサービス「RSクラウド」により、売上と在庫をリアルタイムで確認でき、時間帯ごとの購買動向や補充のタイミングを把握できる。月額利用料とトライアルの推奨期間は、設置機種や運用形態に応じた個別見積もりだ。
このサービスで押さえておきたいのが、判断の軸が変わる点だ。機器を購入する形では、本体の代金を支払った後に何か月で回収できるかという計算になる。設置した自販機が月にどれだけ売れるか分からない段階でこの判断を求められる構造で、見込みが外れた場合は機器が残る形になる。月額制であれば、その月の売上が月額利用料と商品の原価を上回るかという単月の損益で判断できる。続けるか止めるかを毎月の数字で決められる構成で、設備投資の意思決定が運用の判断に置き換わる形になる。
同社が挙げる課題のなかに、自動販売機を使ったことがない事業者が自社スペースでの利用量や売上を見通しにくいという点がある。既存の設備であれば過去の実績から判断できるが、初めて導入する設備では比較できる数字が手元にない。同業他社の事例があっても立地や客層が異なれば結果は変わる部分がある。試験設置はこの不確実性に対応する形で、自社の現場で実際の数字を取ってから本格導入を決める構成だ。
ただし顧客の負担がゼロになるわけではない。設置場所の電源工事費と、搬入・据付の実費は顧客の負担になる。機器そのものは月額に含まれる形だが、工事と据付の費用は試す前に発生する。トライアルの結果が見合わなかった場合、この部分は残らない支出になる。設置場所によって電源の状況は変わる形で、既存の配線で足りる場所と新たに工事が必要な場所では初期の負担が変わる構成だ。導入を検討する側は、月額利用料だけでなくこの実費を含めて試算することになる。
「RSクラウド」が付く形も判断の材料と関わる。時間帯ごとの購買動向が分かれば、どの時間に売れているかが数字で見える。たとえば閉店後の時間帯に売上が立っているかどうかは、無人販売を続ける意味を判断する材料になる。売上と在庫のリアルタイム確認は補充の計画にも関わり、どの商品が動いてどれが残るかが分かれば商品構成の調整ができる。トライアルの期間に取ったデータがそのまま本格導入後の運用設計に使える構成だ。
想定される使い方のひとつが、飲食店や路面店での閉店後の24時間無人販売になる。営業時間を延ばすには人を配置する必要があり、人件費が増える形だ。自販機であれば営業時間外にも売上が立つ構成で、同社は人手不足による営業時間の短縮と販売機会の損失を課題として挙げている。閉店後の時間に商品を売る形は、店舗の立地にある人の流れを使う構成になる。
もうひとつがオフィスや工場での社内無人売店だ。給湯室や休憩スペースに設置する形で、社内食環境や福利厚生の充実が目的に入る。この場合は売上よりも従業員の利便性が目的になる部分があり、トライアルで利用量を確認する意味は収益性の検証とは異なる形になる。催事現場での物販の省人化も挙げられており、限られた人員で販売を行う場面に対応する構成だ。
機器のカテゴリーの広さも特徴になる。冷凍食品、衣料品やグッズ、実物を展示できるタイプと、扱う商材が分かれる形だ。自動販売機は飲料の販売を前提とした設備という位置づけが長かったが、冷凍食品や衣料品に対応する機種が並ぶ構成では用途の選択肢が広がる。「デコマルチ」のように実物を展示できる形であれば、客が商品を見て選ぶ売り方に近づく部分がある。
販路の面では、メーカーが直接顧客と契約する経路が加わる形だ。代理店経由の購入と並行する構成で、試験設置の段階ではメーカーが直接関わる形になる。同社の設立は2015年4月で2026年10月時点で11年6か月、本社は東京都墨田区錦糸、代表取締役社長は森益哉氏、資本金は1億円だ。