株式会社DFA Roboticsは、「小売業における清掃ロボット導入・運用実態調査」のレポートを公開した。対象は勤務先で清掃ロボットを導入し、運用・管理に携わる小売業従事者で、有効回答は111名になる。調査期間は2026年9月3日から9月14日までの12日間だ。
総合的な評価では、導入してよかったと思う回答が95.5%(非常にそう思う49.5%、ややそう思う45.9%)になった。否定的な回答は4.5%だ。一方で課題を感じているという回答も95.5%(非常に36.0%、やや59.5%)で、同じ比率になる。
導入している種類は乾式掃除機タイプが63.1%、乾湿両用タイプが60.4%、床洗浄(湿式)タイプが32.4%だった(複数回答)。稼働の頻度は1日2回以上が36.0%、1日1回が32.4%、週3〜6回が15.3%、週1〜2回が11.7%になる。
稼働している場所は入口・エントランス付近が65.8%で最も多く、店内通路・共用通路が50.5%、売場・フロアが45.0%、バックヤード・倉庫が35.1%だ。運用・管理の担い手は本社・本部が43.2%、店舗スタッフが38.7%、清掃会社・ビルメンテナンス会社が17.1%、メーカー・販売会社の保守サービスが0.9%になる。
この調査で押さえておきたいのが、満足度と課題の比率が一致している点だ。導入してよかったと思う95.5%と、課題を感じている95.5%は同じ数字になる。有効回答111名に対して95.5%は106名の計算で、どちらの質問でも106名が該当する形だ。否定的な回答の4.5%は5名にあたる。導入の効果は認めつつ運用の課題も抱えている状態が、ほぼ全員に共通する構成になる。導入の判断と運用の設計は別の問題で、入れたことを後悔していなくても使いこなす段階で詰まる部分があるという結果だ。
稼働の時間帯の構成も実態として見ておきたい。最も多いのは営業中(午前)の55.9%で62名にあたり、営業中(昼)が44.1%、営業中(夕方)が35.1%と続く。これに対して開店前は33.3%、閉店後は18.9%で21名だ。営業中(午前)は閉店後の約2.96倍になる計算で、客がいない時間より営業中に動かしている店舗の方が多い構成だ。清掃を閉店後に行う作業と捉えればロボットも営業時間外に動かす形が想定されるが、実際には開店前と閉店後を合わせても52.2%にとどまる。人の往来がある時間に動かす形では、客との接触を避ける制御が必要になる部分がある。
今後の選定で重視する項目にも特徴がある。1位は「導入時の設定支援や操作研修の充実度」の47.7%で、「清掃性能の高さ」の43.2%を4.5ポイント上回る。機器そのものの性能より、導入の支援を重視する結果になる構成だ。「操作のしやすさ」が37.8%、「故障・トラブル時のサポート体制」が32.4%で、支援とサポートを合わせると80.1%、性能と操作性を合わせると81.0%でほぼ並ぶ形になる。すでに運用している事業者の回答という点が、この順位と関わる部分がある。
課題の内容を見ると条件が分かる。最も多いのは「清掃できない場所や段差がある」の56.6%で、課題を感じている106名のうち60名にあたる。これは機器の性能とも運用の方法とも別の、建物の構造に関わる課題だ。段差や狭い通路は後から変えにくく、導入の前に現場を確認する工程が必要になる。次が「使いこなせるスタッフが限られ、ロボットが使われない」の35.8%、「エラーや停止時の対応方法が不明確」の34.9%、「メンテナンスや消耗品の管理に手間がかかる」の31.1%だ。後ろの3つはいずれも人の側の運用に関わる課題で、選定で研修や支援が重視される結果と対応する形になる。
運用の担い手の内訳も負担の所在を示している。本社・本部の43.2%と店舗スタッフの38.7%を合わせると81.9%で、8割以上が自社で運用している構成だ。外部に委託する形は清掃会社・ビルメンテナンス会社の17.1%とメーカー・販売会社の0.9%で、合わせて18.0%にとどまる。0.9%は1名の計算だ。清掃を外部に委託していた業務であればロボットの運用も委託先が担う形が考えられるが、実際には自社で持つ構成が大半になる。店舗スタッフが担う38.7%では、売場の業務に運用の作業が加わる部分がある。
稼働の頻度も運用の定着を示す数字になる。1日2回以上の36.0%と1日1回の32.4%を合わせると68.4%で、約7割が毎日稼働させている構成だ。週3〜6回の15.3%と週1〜2回の11.7%を合わせた27.0%は、毎日ではない運用になる。導入しても使われないという課題が35.8%ある一方で、約7割は日常の作業として組み込んでいる形だ。
導入後の変化では「店内・施設の清潔さが向上」が52.3%で最多、「接客や品出しなど他業務に時間を使えるようになった」が42.3%、「清掃業務の負担が減った」が40.5%、「人による清掃品質のばらつきがなくなった」が37.8%になる(複数回答)。清掃の負担軽減だけでなく、空いた時間を別の業務に回す効果が4割を超える形だ。
調査はIDEATECHのリサーチマーケティング「リサピー」によるインターネット調査で実施された。DFA Roboticsの設立は2017年9月で2026年で9年になり、本社は東京都港区虎ノ門、代表取締役社長は松林大悟氏、資本金は5,683万5,500円だ。同社は国内4,700台超の導入実績と全国約160箇所の保守拠点を持ち、1拠点あたり約29.4台の計算になる。構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が必ずしも100にならない。