株式会社パソナ農援隊は、東日本大震災の被災地の水産加工事業者を支援するプロジェクト「UOYA(うおや)」を2026年9月に開始した。水産庁の補助事業「令和8年度水産加工品新開発マッチング事業」を活用し、青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉の6県42社を対象に、新商品の開発や既存商品の改良、販路開拓を支援する。1県あたり7社の水準だ。

震災から15年を経ても、安定的な販路の確保が課題として挙げられている。

このプロジェクトで押さえておきたいのが、販路を複数の形式で用意している点だ。

実地での販売は、場所の性質が分かれている。宮城県仙台市では仙台サンモール一番町商店街(藤崎百貨店前アーケード内)で「三陸・常磐もの 海の幸せマーケット」を2026年10月23日と24日に開催した。山形県山形市では、ぐっと山形 イベント広場で同名のイベントを10月31日と11月1日に開く。

東京都羽村市の福島屋 羽村本店では2027年1月上旬(予定)、大阪市の阪急うめだ本店では2027年2月4日から9日までの6日間を予定している。このほか全国で順次開催するとしている。

商店街のアーケード、イベント広場、スーパー、百貨店という構成は、来る客層と買い方が異なる。

商店街やイベント広場では、通行する人が足を止める形になる。目的を持って来た客ではないため、その場で手に取れる価格帯と量が選ばれやすい。スーパーでは日常の買い物の中に入る形で、家庭で消費する商品が対象になる。百貨店では贈答や自分向けの上質な商品という文脈が加わる。

水産加工品は、商品によって適した売場が変わる商材にあたる。ギフト用の詰合せは百貨店の売場に合い、日常のおかずになる商品はスーパーの棚に合う。1つの販路に絞れば、その形式に合わない商品は売る場所を失う形だ。

取り組みの事例を見ると、開発の方向が分かれている。

有限会社ヤマキイチ商店(岩手県釜石市)は、三陸産ホタテを使った高付加価値の加工品とギフト商品を開発している。丸源水産食品(福島県いわき市)は、目光や柳鰈などの地魚を使った干物詰合せを手がける。株式会社センシン食品(福島県相馬市・宮城県名取市)は、閖上産の生シラスを使った「ご飯のおとも」を開発した。

3社の方向は、高付加価値、詰合せ、日常の商材と分かれる。ギフトは単価を上げる形、詰合せは複数の品目を組み合わせる形、ご飯のおともは食卓で使う形だ。

地魚を使う構成も、販路と関わってくる。目光や柳鰈は知名度が高い魚ではない。単品で並べても選ばれにくいが、詰合せの形であれば複数の魚をまとめて扱える。産地の魚を知る機会としての位置づけにもなる。

支援の内容に「既存商品の改良」が入っている点も見ておきたい。

新商品の開発だけが対象であれば、支援は新しいものを作る作業になる。改良が含まれる形は、既にある商品が売れる状態になっていない場合があることを示している。

商品そのものは作れていても、容量や価格帯、パッケージが売場に合わない場合がある。小売の棚に入る寸法か、客が買いやすい価格か、贈答に使える体裁かという条件は、製造とは別の判断になる。

ECでの展開も始まっている。2026年10月20日から、豊洲市場ドットコム、安心堂 食のSELECTショップ、ぐるなびの「美食の殿堂」、食の達人(楽天市場内)で対象商品の送料無料キャンペーンを順次実施する。高島屋、大丸松坂屋、阪急百貨店の各オンラインストアでも、11月以降に順次実施予定とされている。

送料無料という条件は、水産加工品のECに関わる部分だ。冷蔵・冷凍の商品はクール便が前提になるため、常温品より送料が高くなる。商品代金が数千円の場合、送料の比率が大きくなる形だ。

送料が別に加わる状態では、買う側は商品代金と送料を合わせて判断することになる。送料無料であれば、商品の価格だけで比べられる。まとめ買いを前提にしない購入でも成立する形になる。

対象商品や期間はサイトごとに異なるとされている。

出典:株式会社パソナグループ プレスリリース