米国の「全米魚類野生生物財団(NFWF)」は10月7日、ウォルマート財団から900万ドルの助成を受け、米国グレートプレーンズ(大平原)地域に残る草原を保護し、持続可能な形で管理するための官民連携の助成基金「グレートプレーンズ草原基金(Great Plains Grassland Fund)」を創設すると発表した。
基金にはウォルマート財団の900万ドルに加え、マクドナルドUSAとその主要サプライヤーが「草原レジリエンス・保全イニシアチブ」を通じて行ってきた拠出を通じ、900万ドルが連動して投入される。合計1,800万ドル規模となり、ウォルマート財団にとって大型の自然保全投資となる。牧場主を地域の担い手として位置づけ、ネイティブ草原とそこに依存する魚類・野生生物の生息地を守りつつ、今後ほかの資金提供者も参加できる持続的な保全資金の仕組みをつくることを目指す。
本基金は、土地を自発的に保護する手法と、牧場主への技術・資金面の支援を組み合わせる。保全地役権(コンサベーション・イーズメント)などを活用し、開発や農地転換のリスクがある保全価値の高い草原15万〜20万エーカーを恒久的に保護するほか、さらに15万〜20万エーカーで再生型農業の管理手法の導入を支援する。いずれも参加する土地所有者は、牧畜を土地の主要な用途として継続できる。
草原は、鳥類や魚類、野生生物の重要な生息地であるだけでなく、牧畜経済や米国の牛肉供給を支え、渡りのルートをつなぎ、水のろ過・保全にも寄与している。一方で北米で最も脅威にさらされ、保護が進んでいない生態系の一つでもあり、グレートプレーンズでは毎年約200万エーカーが農地へ転換され、手つかずの草原は地域全体の約半分にとどまる。一度耕された草原は、土壌の健全性や生息地、水のろ過機能、放牧価値を容易に取り戻せない。残る草原の多くは牧場主の家族が所有・管理しているが、農地転換や開発による収益と経済的に競合しにくい状況にある。
NFWFのエグゼクティブディレクター兼CEO、Jeff Trandahl氏は、「健全な草原は、驚くほど多様な野生生物を支えると同時に、牧畜家族や農村経済、重要な食料サプライチェーンを支えています。ウォルマート財団、マクドナルドUSAとそのサプライヤーによる重要な投資により、グレートプレーンズ草原基金は、関係者や他の官民資金提供者が追加支援できる枠組みを確立します」と述べた。
ウォルマートのシニアバイスプレジデント兼ウォルマート財団プレジデントのJulie Gehrki氏は、「ウォルマートとウォルマート財団にとって、再生(リジェネレーション)とは、私たちの事業と地域社会が依存する天然資源と人々への長期的な約束です。NFWFとの『Acres for America』での20年にわたる取り組みが、重要な生息地への継続的な投資の価値を示してきました。その経験を土台に、健全な草原、牧場主、そしてより強靭な牛肉サプライチェーンを支えます」と語っている。
本基金は、2025年にNFWF、マクドナルドUSA、Cargill、Golden State Foods、Lopez Dorada、OSI、The Coca-Cola Companyなどの主要サプライヤー、そして米国農務省の天然資源保全局(NRCS)が立ち上げた「草原レジリエンス・保全イニシアチブ」を土台としている。このイニシアチブは、7年間で400万エーカーの草原の健全性と回復力の向上を目指す。マクドナルドUSAのシニアバイスプレジデント兼北米サプライチェーン最高責任者、Cesar Piña氏は、「ウォルマート財団はこれまで、私たちの農場レベルのレジリエンス向上の取り組みにおいて重要な戦略的資金提供者でした。イニシアチブの開始以来、すでに2回の助成が行われ、全米の草原で自発的な保全活動が進められています。生態系を強化し、牧畜コミュニティを支え、米国の牛肉サプライチェーンをより強靭にしていくために、このようなパートナーシップが欠かせません」と述べた。
同基金が優先するプロジェクトは、(1)農地転換や開発の高リスクにさらされた手つかずの草原の保護、(2)魚類・野生生物・植物にとって価値の高い生息地の保全、(3)保護地域をつなぎ、野生生物の移動ルートを維持すること、(4)草原保全を通じた水量・水質の改善、(5)牧畜による生計と地域経済の支援、(6)地域コミュニティの強いリーダーシップ・参画・支持が得られること、の6点。プロジェクトは地域主導の取り組みを土台とし、自発的な保全地役権、グラスバンク、放牧組合など、草原を維持し牧場主・野生生物・ビジネスにとっての価値を保つコミュニティ型モデルを活用できる。
成果を測るため、NFWFは実施パートナーとともに、草原の保護面積、生物多様性、水資源、牧畜による生計に関する進捗を追跡する。NFWFは今後、同基金を通じて最初の競争的な公募(RFP)を実施する予定で、最大1,000万ドルがプロジェクト向けに提供される見込み。助成先は2027年に発表される予定。
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