公益財団法人流通経済研究所は、食品ロス削減のための商慣習見直しに関する調査結果を2026年10月30日に公表した。食品メーカーと小売事業者等を対象に、納品期限の緩和や賞味期限の設定などの取り組み状況を調べた内容だ。
調査は2026年9月1日から9月30日までの30日間、アンケート方式で実施され、有効回答は515社になる。この調査は「食品ロス削減のための商慣習見直し検討ワーキングチーム」の活動として行われ、同チームは2012年に設置されて農林水産省と共同で運営されている。2026年で14年、15年目にあたる。
公表された事業者数は項目ごとに示されている。小売の常温加工食品の納品期限緩和が393社で前年から16社増、メーカーの賞味期限表示の大括り化が377社で12社増、賞味期限の延長が420社で27社増、安全係数を0.8以上で設定しているメーカーが524社で19社増だ。取引先への納品条件見直しの提案や物流効率化に取り組むメーカーが469社で60社増、常温加工食品で同様の取り組みを行う小売が247社で34社増になる。
今年から新たに調査された項目もある。日配品の納品期限を緩和している小売が49社、日配品の発注リードタイムを延長している小売が98社だ。あわせて、取引先や卸売事業者からの納品期限緩和や発注リードタイム延長の提案を受け入れる意向のある小売のリストが公表された。同意を得た企業名のみが掲載される形だ。
この調査で押さえておきたいのが、増加数ではなく増加率で見た場合の順位だ。前年の値を増加数から逆算すると、小売の常温加工食品での納品条件見直しや物流効率化は213社から247社で約15.96%の伸び、メーカーの納品条件見直し提案や物流効率化は409社から469社で約14.67%の伸びになる。一方で賞味期限表示の大括り化は365社から377社で約3.29%、安全係数0.8以上は505社から524社で約3.76%、常温加工食品の納品期限緩和は377社から393社で約4.24%にとどまる。
伸び率の1位は最下位の約4.86倍で、取引条件や物流に関わる項目だけが2桁の伸びになる構成だ。賞味期限の表示や設定に関する取り組みは企業数そのものが大きく、すでに広く行われている部分がある。これに対して取引条件の見直しや物流の効率化は新しく動いている領域という構成になる。
日配品と常温加工食品の差も数字で表れている。納品期限を緩和している小売は常温加工食品で393社だが、日配品では49社だ。常温の約12.47%、8分の1強にあたる計算になる。日配品は賞味期限が短い商材で、納品から販売までの時間の余裕が小さい構成だ。常温加工食品であれば賞味期限が数か月から1年を超える商材もあり、納品期限を緩めても販売の期間が残る形になる。日配品では期限そのものが数日から数週で、緩和できる幅が構造的に狭い部分がある。今年から調査項目に入った段階で49社という数字は、取り組みが始まった水準を示す形になる。
日配品の2項目の関係も整った数字になっている。納品期限の緩和が49社、発注リードタイムの延長が98社で、98は49のちょうど2倍だ。発注リードタイムの延長は2日以上に設定している場合が対象とされており、納品期限の緩和とは別の手段にあたる。納品期限を緩めるには賞味期限の残り日数に関する基準を変える必要があるが、発注リードタイムの延長は発注から納品までの日数を延ばす形で、商品の期限には触れない構成だ。取り組みやすさの差が2倍という数字に表れた形と読める。
常温加工食品の納品期限緩和には節目が近い。393社という数字について、リリースでは400社まであと7社という形で示されている。前年からの増加が16社なので、同じペースが続けば次回の調査で400社を超える計算だ。節目の数字を示す形は、取り組みの広がりを分かりやすく伝える構成になる。
納品期限の基準そのものも整理されている。従来の商慣習では賞味期限の3分の2を残して納品する形が基準とされ、いわゆる3分の1ルールと呼ばれる構成だ。これに対して提案されているのは賞味期限までの期間の2分の1を残す形になる。公表されたリストでは、2分の1とする提案を受け入れる場合に「◎」、3分の1と2分の1の間とする場合に「○」が付く区分だ。基準を2分の1に緩めれば、納品できる期間が延びて返品や廃棄が減る構成になる。小売の側では売り切る期間が短くなるため、販売の計画が必要になる部分がある。
安全係数という指標も設定の仕組みと関わる。賞味期限は商品の実力値に一定の係数を掛けて決める形で、この係数を事業者が決める構成だ。係数を低くすれば賞味期限は短くなり、安全側に振れる一方で廃棄が増える形になる。0.8という水準は実力値の80%にあたり、公表の対象は現在80%以上で運用している事業者だ。524社という数字は項目のなかで最も大きく、賞味期限の設定の見直しが最も広く行われている領域という構成になる。
賞味期限の延長は2012年以降に実施したものが対象とされ、ワーキングチームの設置年と揃っている。販売期限の延長については、常温加工食品で賞味期限の残り1か月より延長している場合が対象だ。項目ごとに条件が定められており、小売の数値は項目ごとの集計で同一の事業者が複数の項目に含まれる場合があるとされている。納品期限の緩和、販売期限の延長、フードバンクへの寄贈、てまえどりは常温と日配品で別々に尋ねる形で、単純に合計すると重複が生じる構成だ。
同研究所の設立は1966年10月で2026年10月時点で60年になる。所在地は東京都千代田区九段南、理事長は加藤弘貴氏だ。公表された小売のリストは同研究所のサイトにPDFで掲載されている。