株式会社良品計画は、IDÉE(イデー)のリラクシングウェアシリーズ「KAL IDÉE(カル イデー)」を2026年10月16日に発売した。販売するのはイデーショップ全店とイデーショップ オンラインだ。ファッションブランド「ASEEDONCLÖUD」のデザイナー、玉井健太郎氏とのデザイン協働による。
この商品で押さえておきたいのが、位置づけの置き方だ。テーマは「時間のグラデーション」で、オンとオフ、仕事と休息の境界をなめらかにする日常着としている。
衣料の売場では、室内で着るものと外出時に着るものが分かれる構成が一般的だ。ルームウェアやパジャマは寝具や生活雑貨の近くに置かれる場合もあり、通常の衣料とは別の扱いになる。価格帯も、外出着より低く設定されることが多い。
境界に置く商品は、この区分のどちらにも収まりにくい性質を持つ。室内で過ごす時間に着るものでありながら、そのまま外に出られる形であれば、ルームウェアの棚に置くか衣料の棚に置くかの判断が生じる。在宅で働く時間が増えれば、この区分そのものも曖昧になってくる。
シリーズ名にも意味を持たせている。「KAL」はヒンディー語で「昨日」と「明日」を意味する語だ。同じ言葉が過去と未来の両方を指す構造になる。過去から未来への時間の流れの中間にある穏やかな時間を過ごす服として企画したとしている。
言葉の性質をそのままコンセプトに使う形は、商品の位置づけと重なっている。昨日と明日を同じ語で表す言葉であれば、その間にある「今」が残る。オンとオフの境界という設定も、2つの状態の間を指すものだ。
素材の選択も見ておきたい。シャツとパンツには、インドの伝統的な手紡ぎ・手織り素材「カディ」を使っている。ワンピースは軽やかなコットン素材で、脇に手仕事のハンドステッチを入れた。ルームソックスは国内生産で、オフホワイト、ダークブラウン、ブルーの3色展開だ。
アイテムによって生産と素材を分ける構成になる。シャツとパンツはインドの手織り素材、ソックスは国内生産という形だ。手紡ぎ・手織りの素材は機械で均一に作る織物とは風合いが異なり、1点ごとの差も出る。
パンツのデザインには、インドの民族衣装の下衣「サルワール」のディテールを現代的なシルエットに再構成した形を取っている。
民族衣装の形を取り入れる構成は、リラックスできる形状と結びつく部分だ。サルワールはもともとゆったりとした作りの衣服にあたる。体を締めない構造であれば、室内で長く着る用途と噛み合う。そのうえで現代的なシルエットに整えれば、外に出られる形にもなる。
同社はインドをはじめとする世界各地の手工芸に着目しているとしている。手仕事の素材や技法を使う形は、工業生産の衣料とは別の性質を持つ。生産できる量に限りがある一方、素材そのものに由来する違いが残る構成になる。
なお、価格についての記載はない。