世界の小売店舗はいま、大きな転換期を迎えている。

ECが当たり前になった一方で、リアル店舗には「商品を販売する場所」以上の役割が求められるようになった。AIによる店舗運営、コンピュータービジョンによるレジレス決済、スマートカート、電子棚札、ロボット、自動調理、店舗とECの融合。そして、オンラインでは再現できない体験価値やコミュニティづくり。

世界各地では、こうした新しい店舗のあり方を模索する実験が進んでいる。

IGDも2026年の小売店舗について、店舗の未来を「体験」と「オペレーショナル・エクセレンス」の二者択一ではなく、AIやリアルタイムデータを活用して両立させていく方向にあると分析している。IGD

本記事では、Store Guide編集部が2026年9月時点の公開情報をもとに、海外で注目したい30店舗をピックアップした。

選定にあたって重視したのは、主に次の5つの観点だ。

  1. DX・AI・データ活用
  2. 省人化・店舗オペレーション
  3. 新しい売場・MD
  4. 顧客体験・店舗の目的地化
  5. 今後、他店舗・他企業へ横展開される可能性

なお、これは売上高や店舗規模によるランキングではなく、日本の小売企業にとっての「研究価値」を基準にしたStore Guide編集部選である。


世界の注目小売店舗30選

No.国・都市企業・店舗業態注目ポイント
1米国・グレープバインSam’s Club Grapevine会員制倉庫店レジを前提としない大型店
2米国・サイプレスWalmart Cypress Supercenter総合スーパーWalmart次世代大型店
3米国・NYWhole Foods Market Daily Shop Williamsburg食品スーパー都市型小型スーパー
4米国・NYWhole Foods Market Lenox Hill食品スーパーDaily Shop発祥モデル
5米国・NYPrintemps New York百貨店「体験」を中心にした百貨店
6米国・NYPrimark Herald Squareアパレル大都市型大型旗艦店
7米国・シカゴUNIQLO Michigan Avenueアパレル米国再成長の旗艦店
8フランス・パリNike House of Innovation Parisスポーツアプリ×体験×カスタマイズ
9英国・ロンドンIKEA Oxford Street家具都市中心部型IKEA
10英国・ゴダルミングM&S Food Godalming食品スーパー大型Foodhall新モデル
11ドイツ・ハンブルクREWE Pick&Go Hoheluft食品スーパー1,200㎡級レジレス
12ドイツ・デュッセルドルフREWE Fresh & Smart食品スーパーAI調理ロボット
13フランス・ヴィラベCarrefour VillabéハイパーマーケットAI・CV・電子棚札
14英国・ロンドンALDI Shop&Go Greenwichディスカウントレジレス
15シンガポールFairPrice Finest Punggol Digital District食品スーパーGenAIスーパー
16シンガポールDecathlon KallangスポーツRFID・体験型店舗
17タイ・バンコクTOPS FOOD HALL Central Park食品スーパー食品×百貨店型体験
18タイ・バンコクCentral Chidlom百貨店オムニチャネル×体験
19タイ・バンコクSupersports Central Chidlomスポーツ3D計測・体験
20タイ・バンコクNo Brand Central Bangna食品・生活雑貨韓国型バリューリテール
21韓国・ソウルZETTAPLEX Jamsil総合スーパーカテゴリーキラー集合
22韓国・ソウルUNIQLO Myeongdongアパレル韓国最大のUNIQLO
23韓国・ソウルHAUS NOWHERE SEOULファッション・ライフスタイル店舗を「作品」にする
24中国・上海SEGA STORE SHANGHAIIP・専門店IP×リアル体験
25中国・北京JD MALL Shuangjing家電・ライフスタイルEC企業による大型体験店
26中国・上海Freshippo Premier Store食品スーパーEC×生鮮×プレミアム
27メキシコ・ナウカルパンCity Market高級食品スーパー食品の体験価値
28米国・ランチョクカモンガVallarta Supermarkets食品スーパー店内飲食×地域密着
29豪州・アデレードColes Local The Avenues食品スーパー地域別MD
30ブラジル・クリチバMuffato Go食品スーパー完全自動決済

ここから、それぞれを詳しく見ていく。


1|Sam’s Club Grapevine

「レジそのものをなくす」大型店モデル

国・都市:米国・テキサス州グレープバイン
企業:Sam’s Club/Walmart
業態:会員制倉庫型店舗

今回の30店舗のなかでも、とりわけ日本の小売企業に研究してほしい店舗の一つだ。

Sam’s Clubが「クラブ・オブ・ザ・フューチャー」のモデルとして位置付けている店舗で、従来レジがあったスペースを大きく変え、Scan & Goを中心とした買物体験を導入。「Dance Floor」と呼ばれるオムニチャネル型ショールームも設置している。

店舗ではAI、コンピュータービジョン、自動フォークリフト、カフェでのピザロボットなども導入している。Sam’s Clubによれば、同店のモデルを600店規模の店舗改装にも反映していく方針だ。ウォルマートニュース

DX・AI:Scan & Go、コンピュータービジョン、AI
売場:EC専売商品もリアル店舗から購入
省人化:レジ業務、自動搬送、調理の一部を自動化

Store Guide視点

注目したいのは「セルフレジを増やす」という発想ではないことだ。レジという場所そのものを再設計し、余った空間を顧客体験に転換している。

日本のGMSや大型スーパーにとって非常に重要な考え方だろう。


2|Walmart Cypress Supercenter

Walmartがゼロからつくった「次世代Supercenter」

国・都市:米国・テキサス州サイプレス
企業:Walmart
業態:総合スーパー

2025年4月に開業したWalmartの新世代Supercenter。

Walmartにとって約4年ぶりとなる新築Supercenterで、同社自身が「Store of the Future」の新築モデルと位置付けた店舗だ。テクノロジー、利便性、売場体験、オンラインとの連携を統合している。ウォルマートニュース

Walmartでは店舗をECの競合ではなく、配送・Pickupなどを支える「オムニチャネルのハブ」と位置付けている。

DX・AI:アプリ連携、Scan & Go、デジタル接点
売場:オンライン商品も含めた提案型売場
省人化:デジタルによる店舗オペレーション支援

Store Guide視点

「ECが伸びるほど店舗が不要になる」の逆を行くモデルである。

店舗網を物流・広告・データ・EC・サービスまで含めた資産として再定義している点が重要だ。


3|Whole Foods Market Daily Shop Williamsburg

「フルラインスーパーを小さくする」のではない都市型スーパー

国・都市:米国・ニューヨーク・ブルックリン
企業:Whole Foods Market/Amazon
店舗:Daily Shop Williamsburg
業態:食品スーパー

2026年2月にオープンした約7,888平方フィートの都市型小型店。

生鮮、精肉・鮮魚、惣菜、サンドイッチ、パン、PB「365」などをコンパクトな店舗へ凝縮している。Whole Foods Market

売場:即食・簡便・生鮮中心
DX・AI:Amazon・Whole Foodsのデジタル基盤と連携
省人化:大型店よりコンパクトな運営モデル

Store Guide視点

日本で言えば「都市型食品スーパー+コンビニ+デリ」の中間。

人口密度の高い都市では、スーパーの大型化だけでなく買物目的を絞った小型化が重要になることを示している。


4|Whole Foods Market Lenox Hill

Daily Shopという新業態の出発点

国・都市:米国・ニューヨーク
企業:Whole Foods Market
店舗:Lenox Hill
業態:都市型食品スーパー

Daily Shop展開の起点となった店舗。

現在もマンハッタンのThird Avenueで営業しており、Whole Foodsが都市生活者向け小型フォーマットを拡大していくうえで重要なモデルとなっている。Whole Foods Market

Store Guide視点

大型スーパーの縮小版ではなく、「今日食べるもの」「短時間の買物」を中心にフォーマットそのものを再設計していることがポイントだ。


5|Printemps New York

EC全盛時代に「あえてリアル体験」に振り切った百貨店

国・都市:米国・ニューヨーク
企業:Printemps
業態:百貨店

2025年、One Wall Streetに開業。

ファッションだけでなく、美容、ウェルネス、飲食、アートなどを融合させ、「フランスの邸宅」のような空間をつくっている。Printemps

興味深いのは、売場表面ではデジタルを過度に前面に出していないことだ。店内体験や接客そのものを価値として設計する一方、裏側にはデジタル基盤を持つ。The Wall Street Journal

Store Guide視点

「DX=画面を増やすことではない」という象徴的店舗。

リアル店舗の価値を、便利さではなく滞在したくなることに置いている。


6|Primark Herald Square

EC依存度の低いPrimarkがNY中心部へ大型旗艦店

国・都市:米国・ニューヨーク
企業:Primark
業態:アパレル

2026年5月、マンハッタンのHerald Squareにオープン。

米国市場で店舗拡大を続けるPrimarkにとって象徴的な旗艦店だ。同社は2026年5月時点で米国40店舗まで拡大している。Primark Cares

Store Guide視点

すべての次世代店舗がAI店舗になるわけではない。

強い価格、商品回転、大型売場、立地によって「店舗そのもの」を競争力にするモデルも依然として成立することを示している。


7|UNIQLO Michigan Avenue

米国再成長を担う新世代旗艦店

国・都市:米国・シカゴ
企業:ファーストリテイリング/UNIQLO
業態:アパレル

UNIQLOは2026年、シカゴやサンフランシスコなど米国主要都市への旗艦店展開を加速。

ファーストリテイリングは、店舗、マーケティング、ECを一体化させてLifeWearの価値を伝える戦略を進めている。UNIQLO

Store Guide視点

単なる販売拠点ではなく、ブランド理解を深めるメディアとして店舗を活用している点に注目したい。


8|Nike House of Innovation Paris

店舗×アプリ×カスタマイズ

国・都市:フランス・パリ
企業:Nike
業態:スポーツ

シャンゼリゼ通りにある4フロアの旗艦店。

「Nike Arena」「Sneakerlab」「Nike By You」など売場を目的別に構成し、Nike Appと店舗体験を接続している。クリック&コレクトや店頭カスタマイズにも対応する。Nike.com

Store Guide視点

店舗アプリを単なるポイントカードにしない好例。

「店舗へ来ることでできること」をアプリによって増やしている。


9|IKEA Oxford Street

郊外大型店の常識を捨てた都市型IKEA

国・都市:英国・ロンドン
企業:IKEA
業態:家具・生活雑貨

2025年5月、Oxford Streetにオープン。

約7,600㎡・3フロアで、約6,000商品を展開。そのうち約半数は持ち帰り可能で、大型家具は自宅配送などを利用する。IKEA

Store Guide視点

「商品を全部置かなければ店舗ではない」という常識から離れている。

EC・配送網があるからこそ、都心店舗は体験・相談・小物販売に特化できる。


10|M&S Food Godalming

大型食品スーパーへ再び振れるM&S

国・都市:英国・ゴダルミング
企業:Marks & Spencer
業態:食品スーパー

2026年7月に開業した、M&S史上最大の独立型Foodhall。約22,000平方フィート。

青果、ベーカリー、チーズ、寿司、ロティサリーチキン、ワイン、キッチン用品などを大幅に強化している。Marks & Spencer

Store Guide視点

コンビニエンス化とは反対方向だ。

「M&Sだけで週次の買物を完結してもらう」ために店舗を大型化している。買上点数を増やす店舗設計として参考になる。


11|REWE Pick&Go Hamburg

1,200㎡でも成立するレジレススーパー

国・都市:ドイツ・ハンブルク
企業:REWE
業態:食品スーパー

約1,200㎡の大型店舗でコンピュータービジョン型Pick&Goを展開。

カメラ・センサーによって商品取得を認識し、退店後に決済できる。通常決済も用意する「ハイブリッド型」であることも特徴だ。REWE Group

DX・AI:コンピュータービジョン
省人化:スキャン・決済工程削減

Store Guide視点

小型無人店ではなく、通常の食品スーパー規模でレジレスを成立させようとしている点が重要。


12|REWE Fresh & Smart Düsseldorf-Heerdt

スーパーの惣菜をAIロボットがつくる

国・都市:ドイツ・デュッセルドルフ
企業:REWE
業態:食品スーパー

2025年にREWEが導入した「Fresh & Smart」。

Circus Groupの自律型AIロボットが店舗内で料理を調理する。REWEは複数店舗での実証を計画している。REWE Group

Store Guide視点

レジ省人化の次に注目したいのがバックヤード・惣菜製造の省人化。

日本のスーパーにとってむしろこちらの方がインパクトは大きい可能性がある。


13|Carrefour Villabé

「棚そのもの」をデジタル化する

国・都市:フランス・ヴィラベ
企業:Carrefour
業態:ハイパーマーケット

VusionGroupのEdgeSenseを欧州の食品小売として先行導入。

スマートレール、コンピュータービジョン、AI、電子棚札を組み合わせ、棚の在庫・商品位置などをリアルタイムにデジタル化している。Vusion

さらにCarrefourは2026年、フランスのハイパー・スーパー全体へのデジタル化拡大方針を発表している。Vusion

Store Guide視点

「レジレス」以上に日本企業が注目すべき可能性がある。

欠品確認、値札変更、売場確認など、売場管理そのものをAI化する店舗だからだ。


14|ALDI Shop&Go Greenwich

ディスカウントストア×レジレス

国・都市:英国・ロンドン
企業:ALDI
業態:ディスカウントスーパー

Greenwichで運営されるALDIのShop&Go店舗。

専用アプリを活用し、従来型レジを使わず買物を完了できる。現在もALDIはGreenwich店専用のデジタルレシートサービスを提供している。Shop & Go

Store Guide視点

もともとローコストオペレーションに強いディスカウンターが、さらに店舗運営をデジタル化する事例として面白い。


アジアで特に注目したい店舗

15|FairPrice Finest Punggol Digital District

GenAIが店頭に入ってきた

国・都市:シンガポール
企業:FairPrice Group
業態:食品スーパー

2025年8月にオープン。

FairPrice Groupは同店を、Google Cloudとの協業による「Store of Tomorrow」の実験店舗として位置付けている。

スマートカート、生成AI型ショッピングアシスタント、デジタル棚、パーソナライズされた推奨・販促などを実装している。FairPriceは同店を「世界初のGenAI-powered supermarket」と表現している。FairPrice Group

さらに2026年には、この店舗で検証した仕組みをシンガポール国内へ展開する方針を発表した。FairPrice Group

Store Guide視点

今回30店舗の中でも最重要候補。

AIが本部業務だけでなく、買物中の顧客と従業員双方のUIになることを示している。


16|Decathlon Singapore Kallang

「商品を試せる」がECとの差別化になる

国・都市:シンガポール
企業:Decathlon
業態:スポーツ

約5,000㎡の大型Experience Store。

商品を実際に試せるテストゾーン、無料スポーツエリア、イベントなどを展開。シンガポールではScan & Payも導入している。Decathlon Singapore

Store Guide視点

Decathlonはリアル店舗を在庫置場ではなく、商品体験装置として使っている。


17|TOPS FOOD HALL Central Park

「Food Fashion Department Store」

国・都市:タイ・バンコク
企業:Central Retail/TOPS
業態:食品スーパー

2025年9月にオープンした旗艦店。

Central Retailは「Food Fashion Department Store」というコンセプトを掲げ、食材をファッションのように編集・提案する店舗を目指している。セントラルリテール

Store Guide視点

食品スーパーの差別化を「品揃えの多さ」ではなく、編集・演出・食文化へ持っていく考え方が興味深い。


18|Central Chidlom

百貨店を「Store of Bangkok」へ再定義

国・都市:タイ・バンコク
企業:Central Retail
業態:百貨店

大規模リニューアルによって、

  • Curation
  • Design
  • Service
  • Community

の4つを軸に店舗を再構築。

Central Retailによれば、2025年にはIGDSの「The Most Innovative Department Store in the World」を受賞した。セントラルリテール

Store Guide視点

百貨店を「モノを集めた場所」から都市のコミュニティ・文化拠点へ変えようとしている。


19|Supersports Central Chidlom

スポーツ専門店の体験DX

国・都市:タイ・バンコク
企業:Central Retail/Supersports
業態:スポーツ専門店

Supersports 3.0の旗艦モデル。

3Dサイズ計測「Safesize」、インタラクティブランニングトラック、ゴルフシミュレーター、AI分析などを店舗へ取り入れている。セントラルリテール

Store Guide視点

スポーツ用品はオンライン購入可能だからこそ、店舗では「測る・試す・相談する」の価値が重要になる。


20|No Brand Central Bangna

韓国発「PBそのものを店にする」モデル

国・都市:タイ・バンコク
企業:Emart/Central Retail
業態:食品・生活雑貨

2026年3月にタイ初の独立型No Brandとしてオープン。

約250㎡で2,200商品以上を展開。Central RetailとEmartは2028年までに10店舗へ拡大する計画を示している。セントラルリテール

Store Guide視点

PBを「スーパーに置く商品」と考えるのではなく、PB自体をリテールブランド化する発想。

日本でも十分応用可能だ。


21|ZETTAPLEX Jamsil

「何でもある」をカテゴリーキラーで再構築

国・都市:韓国・ソウル
企業:Lotte Mart
業態:大型スーパー

Lotte Martの大型旗艦フォーマット。

Wineの「Bottle Bunker」、Living、Petなどカテゴリー特化型の専門売場を大型店内部へ組み込む。食品では「Grand Grocery」なども展開している。Lotte Blog

Store Guide視点

GMS再生を考えるうえで面白い。

大型店を均一な売場にするのではなく、強い専門店の集合体にしていく考え方だ。


22|UNIQLO Myeongdong Global Flagship Store

地域最大店舗をブランド発信拠点へ

国・都市:韓国・ソウル
企業:UNIQLO
業態:アパレル

2026年5月オープン。

約3,200㎡、3フロア。韓国最大のUNIQLOとして、LifeWearのフルラインとブランド体験を提供する。ファーストリテイリング

Store Guide視点

旗艦店は売上だけを追うものではなく、市場全体のブランド認知を引き上げる広告装置でもある。


23|HAUS NOWHERE SEOUL

「買う場所」なのか「現代アート」なのか

国・都市:韓国・ソウル・聖水
企業:IICOMBINED/Gentle Monster
業態:ファッション・ライフスタイル

2025年9月にオープン。

Gentle Monsterを中心に、ファッション、香水、飲食、アート、巨大な機械インスタレーションなどを融合した施設だ。ソウル市観光情報でも「shopというよりexhibition」と紹介されている。Gentle Monster

Store Guide視点

EC時代の旗艦店として非常に象徴的。

「売場面積当たり売上」の考え方だけでは評価できない店舗であり、SNS拡散・ブランド形成まで含めて店舗投資を考える必要性を示している。


24|SEGA STORE SHANGHAI

IPをデジタルからリアルへ

国・都市:中国・上海
企業:SEGA
業態:キャラクター・IP専門店

2025年5月にオープンしたSEGA世界初の公式旗艦店。

上海のBailian ZX内に位置し、商品販売に加え、インタラクティブコンテンツやフォトスポットなどを展開している。株式会社セガ

Store Guide視点

IPビジネスと小売の融合例。

動画・ゲーム・SNSで形成したファンを、リアル店舗へ呼び込む構造だ。


25|JD MALL Beijing Shuangjing

EC企業がつくる巨大リアル店舗

国・都市:中国・北京
企業:JD.com
業態:家電・ライフスタイル

2025年に開業した北京2号店。

家電だけでなく、eスポーツ、ゲーム、カメラ、キャンプ、レコードなど「試して買う」カテゴリーを集積。越境EC商品についても、オフライン体験→オンライン購入というモデルを構築している。北京英語ポータル

さらに2026年には、この店舗にUnitree Roboticsの世界初オフライン店舗が出店し、ロボットを実際に操作・体験して購入できるようになった。北京英語ポータル

Store Guide視点

EC企業だからこそ、店舗では「在庫」ではなく体験を担当させる。

非常に分かりやすいOMOモデルだ。


26|Freshippo Premier Store Shanghai

オンライン比率が高くても、リアル店舗を強化する

国・都市:中国・上海・長寧区
企業:Alibaba/Freshippo
業態:食品スーパー

Freshippoが展開するプレミアム型店舗。

シーフード、チョコレート、高級食材など通常店にはない品揃えを強化している。上海ではデリバリー利用が非常に高い環境にありながら、リアル店舗の体験価値を再設計している点が興味深い。界面新闻

Store Guide視点

オンラインが強い企業ほど、リアル店舗にしか提供できない「発見」を重視し始めている。


北米・中南米・豪州で注目したい店舗

27|City Market Naucalpan de Juárez

高級スーパーを「食品エンターテインメント」にする

国・都市:メキシコ・ナウカルパン
企業:La Comer/City Market
業態:プレミアム食品スーパー

IGDが2026年8月の「Store of the Month」に選定した店舗。IGD

高級食品スーパーでは、価格だけではなく品揃え、食の専門性、演出、サービスの組み合わせによって来店動機を生み出すことが重要になる。

Store Guide視点

成城石井や紀ノ国屋、百貨店食品売場、高質スーパーなどの研究対象として面白い。


28|Vallarta Supermarkets Rancho Cucamonga

地域スーパーが「外食」まで取り込む

国・都市:米国・カリフォルニア州ランチョクカモンガ
企業:Vallarta Supermarkets
業態:食品スーパー

2026年4月オープン。

メキシコ・ラテン系食文化を強く打ち出したスーパーで、新店舗では店内シーフードレストラン「Costa de Oro」を初導入した。PR Newswire

IGDもVallartaを2026年6月の注目店舗として取り上げている。IGD

Store Guide視点

スーパーと外食の境界がかなり曖昧になっている。

日本でも「惣菜を販売する」からさらに進んで、店内で食べる・出来立てを楽しむ方向は伸びそうだ。


29|Coles Local The Avenues

全国一律ではなく「地域ごとに品揃えを変える」

国・都市:豪州・アデレード
企業:Coles
業態:食品スーパー

2025年10月オープン。

700以上の南オーストラリア商品、60社以上の地元サプライヤーを扱う。Coles Local自体が、それぞれの地域に合わせて商品構成を変えるフォーマットだ。コールスグループ

Store Guide視点

チェーンストアの効率を維持しながら、地域別MDをどこまで行うか。

日本のスーパーでも今後ますます重要になるテーマだろう。


30|Muffato Go

南米を代表する自律型スーパー

国・都市:ブラジル・クリチバ
企業:Grupo Muffato
業態:食品スーパー

約248㎡、約1,754SKUの自律型スーパー。

SenseiのAI基盤を利用し、商品取得を自動認識。レジで商品を1点ずつスキャンせずに買物を完了できる。Sensei

DX・AI:コンピュータービジョン・AI
省人化:レジレス
売場:約1,700SKU超の食品・日用品

Store Guide視点

レジレスというとAmazon Goが有名だが、技術はすでに世界各地域のローカル小売企業にも広がり始めている。


30店舗を見ると、世界の店舗は「5つの方向」に進んでいる

今回の30店舗を俯瞰すると、次世代店舗の方向性はかなり整理できる。

1.「レジの省人化」から「店舗全体の省人化」へ

Sam’s Club、REWE、Carrefour、FairPriceなどを見ると、テクノロジー活用はセルフレジだけではない。

AI・コンピュータービジョンによる棚管理、在庫管理、商品検索、調理、自動搬送、スタッフ支援まで対象が広がっている。

次の店舗DXでは、

POS DX → 店舗オペレーションDX

への移行が大きなテーマになりそうだ。

2.大型店舗は「売る場所」から「体験する場所」へ

JD MALL、Nike、Decathlon、Gentle Monsterなどは典型だ。

ECで購入できる商品だからこそ、

試す
相談する
比較する
カスタマイズする
楽しむ
SNSで共有する

という体験をリアル店舗が担当する。

3.スーパーと外食の境界がなくなる

REWEのAI調理ロボット、M&SのFoodhall、Vallartaの店内レストラン、TOPS FOOD HALLなどに共通するのが「食べる」機能だ。

スーパーの競争相手は他のスーパーだけではなく、レストランやデリバリーまで含まれる。

4.AIは「本部」から「売場」へ入る

FairPriceのGenAIショッピングアシスタントは象徴的だ。

今後は顧客が店舗で、

「今晩何を作ればいい?」
「1,000円以内で夕食を作りたい」
「この商品と合うものは?」
「アレルギー対応の商品は?」

とAIへ尋ね、そのまま売場へ案内される世界が現実味を帯びてくる。

5.リアル店舗そのものが「メディア」になる

Printemps、Gentle Monster、SEGA、UNIQLOなどは、店舗を単純な販売チャネルとは考えていない。

来店、体験、SNS投稿、動画、コミュニティ、EC購入まで含めて店舗を設計する。

つまり、

Store = Media

という考え方である。


日本の小売企業が特に研究したい「10店舗」

30店舗すべてに特徴があるが、日本の食品スーパー・GMS・ドラッグストアなどが研究するという意味では、特に次の10店舗が重要だと考えられる。

店舗日本企業が研究したいテーマ
Sam’s Club Grapevineレジレス大型店・オムニチャネル
Walmart Cypress店舗をEC・物流ハブにする考え方
FairPrice PunggolGenAI×店舗
Carrefour VillabéAI棚管理
REWE Pick&Go大型スーパーのレジレス
REWE Fresh & Smart惣菜調理自動化
M&S Godalming食品スーパー大型化・食強化
TOPS FOOD HALL食品売場の体験化
ZETTAPLEXGMS再生・専門店化
JD MALLEC×大型リアル店舗