12月から1月は、年末調整、源泉徴収票の交付、法定調書・給与支払報告書・償却資産の申告が続く、店舗にとって最も事務が重なる時期です。今回の2027年1月提出分は、1月31日が日曜日のため、いくつかの期限が2月1日(月)になります。

この記事は、従業員を雇っている小売店・飲食店のオーナー、個人事業主、経理・総務を兼ねている事務担当の方に向けたものです。年末の繁忙期と重なるため、11月中に段取りを決めておきたい方に読んでいただく想定です。

2026年12月上旬から2027年1月末までの手続きを日付順に並べ、今年ならではの変更点(基礎控除の引上げ、源泉徴収票のみなし提出、償却資産の免税点)と、年末年始の労務の注意点をまとめます。

2026年12月〜2027年1月のスケジュール一覧

日付手続き提出・納付先備考
12月上旬〜年末調整の書類回収(扶養控除等申告書、基礎控除申告書、保険料控除申告書など)社内申告書の様式は前年分から変更あり
12月10日(木)11月分の源泉所得税の納付(原則の店舗)税務署・金融機関納期の特例の店舗は不要
12月の最終給与年末調整の実施・過不足の精算社内改正後の控除で計算
賞与支給日から5日以内健康保険・厚生年金保険の賞与支払届日本年金機構冬の賞与を払う場合
2027年1月12日(火)12月分(年末調整分を含む)の源泉所得税の納付(原則の店舗)税務署・金融機関1月10日が日曜、11日が成人の日のため
2027年1月20日(水)7〜12月分の源泉所得税の納付(納期の特例の店舗)税務署・金融機関曜日による繰下げなし
2027年2月1日(月)源泉徴収票の交付、給与支払報告書の提出従業員/市区町村国税庁の令和8年分手引で2月1日と案内
2027年2月1日(月)見込み法定調書合計表・支払調書の提出税務署原則1月31日。休日のため翌日扱いになる見込み
2027年2月1日(月)見込み償却資産の申告(令和9年度分)市区町村翌開庁日とする自治体が多い。要確認
2027年3月1日(月)見込み12月決算法人の法人税等の申告・納付税務署ほか原則2か月以内。2月28日が日曜のため

日付の曜日は暦から計算したものです。「見込み」と書いた項目は、提出先の案内で最終確認してください。社内の締切は1月22日ごろに置くと、窓口や電子申告の混雑を避けやすくなります。

12月:年末調整と年内の納付

2026年の年末調整で変わる点

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円から74万円)、扶養親族等の所得要件の引上げ(58万円以下から62万円以下)が、令和8年12月1日に施行されました。令和8年分の所得税に適用され、11月までの毎月の源泉徴収事務は変わりません。

そのため12月の年末調整では、改正後の基礎控除額と改正後の「給与所得控除後の給与等の金額の表」で年税額を計算し、11月までに多く引いていた分を精算します。過納額は、年末調整をした月の源泉所得税から差し引くなどして従業員に返します。

11月30日以前に最後の給与を払った退職者などは、年末調整で改正後の控除が適用されません。その人には確定申告などが必要になる旨を伝えましょう。詳しくは「2026年の年末調整はここが変わる」で解説しています。

2027年1月からの税額表

2027年1月1日以後に支払う給与からは、改正後の「令和9年分源泉徴収税額表」を使います。給与ソフトの更新時期を年内に確認しておくと、1月の給与計算で慌てずに済みます。

冬の賞与の手続き

賞与を支払ったら、支給日から5日以内に賞与支払届を事務センターまたは年金事務所に出します。対象は年3回以下の支給の賞与で、名称は問いません。賞与から源泉徴収した所得税も、給与と同じく翌月10日(納期の特例なら1月20日)までに納付します。

1月:源泉税の納付と3つの提出期限

源泉所得税の納付

毎月納付している店舗は、12月に支払った給与・賞与と年末調整の分を、2027年1月12日(火)までに納めます。1月10日が日曜日、11日が成人の日にあたるためです。

納期の特例の承認を受けている店舗は、7月から12月までの分を2027年1月20日(水)までに納めます。特例は給与の支給人員が常時10人未満の事業者が対象です。

源泉徴収票と給与支払報告書

国税庁の令和8年分の手引では、給与支払報告書の提出期限と、従業員への源泉徴収票の交付期限を、いずれも2027年2月1日(月)としています。給与支払報告書は、原則として従業員の2027年1月1日現在の住所地の市区町村に出します。

今回から大きく変わるのが、源泉徴収票の「みなし提出」です。2027年1月1日以後に令和8年分の給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署用の源泉徴収票は作成・提出が不要になります。従業員に渡す源泉徴収票は、これまでどおり全員分が必要です。

法定調書合計表

税理士報酬や家賃などの支払調書と法定調書合計表は、税務署に提出します。期限は原則1月31日で、前年(令和7年分)は1月31日が土曜日だったため2月2日(月)と案内されていました。今回も1月31日が日曜日のため2月1日(月)になる見込みですが、令和8年分の手引で確認してください。

償却資産の申告

厨房機器や陳列棚、レジなどの事業用資産は、2027年1月1日時点の状況を市区町村に申告します。期限は1月31日で、土日祝日の場合は翌開庁日とする自治体(名古屋市など)があり、その場合は2月1日(月)です。

令和9年度から、償却資産の免税点が150万円から180万円に引き上げられると自治体が案内しています。免税点は課税されるかどうかの基準なので、申告が必要かどうかは自店の自治体の案内で確認しましょう(「償却資産(固定資産税)の申告とは?」)。

e-TaxとeLTAXの使い分け

書類提出先電子提出の手段ポイント
法定調書・合計表税務署e-Tax令和7年中に提出した法定調書が種類ごとに30枚以上なら、2027年提出分は電子提出が義務
給与支払報告書市区町村eLTAX提出データが各市区町村に振り分けられる。令和8年分から総務省通知形式のCSV
償却資産申告書市区町村eLTAX初めての場合は利用届出が必要
源泉徴収票(従業員交付用)従業員—eLTAXの受付完了通知からPDF出力もできる

源泉徴収票と給与支払報告書を同時に作れたeLTAXの「電子的提出の一元化機能」は、2026年9月に終了しています。みなし提出の特例により、給与支払報告書を出せば税務署分は不要になるためです。

年末年始の労務と決算

年末年始の営業と36協定

年末商戦や年始営業で残業が増える店舗は、36協定の上限を確認してください。原則は月45時間・年360時間で、特別条項を結んでいても、時間外と休日労働の合計は月100時間未満、月45時間を超えられるのは年6か月以内です(「36協定と残業の上限規制」)。

割増賃金は、時間外労働と深夜労働(午後10時〜午前5時)が25%以上、法定休日労働が35%以上、月60時間を超える時間外労働が50%以上です。大晦日の深夜営業や元日の出勤は、法定休日かどうかで割増率が変わるため、シフト表と就業規則を照らし合わせておきましょう。

12月決算法人の申告

法人税の確定申告は、事業年度終了日の翌日から2か月以内が原則です。12月決算なら2月28日ですが、2027年は日曜日のため3月1日(月)になる見込みです。決算整理は1月の法定調書と並行して進めることになります。

個人事業主の確定申告の準備

個人経営の店は、令和8年分の所得税の確定申告期限が2027年3月15日(月)、消費税(個人事業者)が3月31日(水)です。1月中に帳簿を締めておくと、2月以降の作業が楽になります(「個人経営の店の青色申告」)。

12月〜1月の手続きチェックリスト

  • □ 年末調整の申告書(新様式)を12月上旬までに従業員に配った
  • □ 11月30日以前に退職した人の扱いを確認した
  • □ 給与ソフトが改正後の控除と令和9年分税額表に対応しているか確認した
  • □ 冬の賞与を払った場合、5日以内に賞与支払届を出した
  • □ 源泉所得税の納付日(1月12日または1月20日)を確認した
  • □ 給与支払報告書をeLTAXなどで市区町村に出した(税務署用の源泉徴収票は不要)
  • □ 従業員全員に源泉徴収票を2月1日までに渡した
  • □ 法定調書合計表と償却資産申告の期限を提出先の案内で確認した
  • □ 年末年始のシフトが36協定の範囲内か確認した

よくある質問

Q. 2027年は1月31日が日曜日ですが、すべての期限が2月1日になりますか。

A. 給与支払報告書と源泉徴収票の交付は、国税庁の令和8年分の手引で2月1日(月)とされています。法定調書合計表や償却資産申告も翌日扱いになる見込みですが、税務署・自治体の案内で確認してください。

Q. 給与支払報告書を出せば、税務署には何も出さなくてよいのですか。

A. みなし提出で不要になるのは、給与所得の源泉徴収票の税務署提出分です。報酬の支払調書などその他の法定調書は、引き続き税務署に提出します。合計表の扱いは国税庁の手引やQ&Aで確認してください。

Q. 改正で税金が減った分は、いつ従業員に返すのですか。

A. 12月の年末調整で、改正後の控除で計算した年税額と、11月までに引いた税額の差を精算します。過納額は年末調整をした月の源泉所得税から差し引くなどして返します。

Q. 納期の特例の店舗は、年末調整分をいつ納めますか。

A. 7月から12月までの源泉所得税とあわせて、2027年1月20日(水)までに納めます。

まとめ

12月は年末調整と賞与、1月は源泉税の納付と提出書類が集中します。今回は1月31日が日曜日のため、給与支払報告書と源泉徴収票の交付が2月1日(月)となり、ほかの期限も翌日扱いになる見込みです。

今年は、基礎控除などの改正を12月の年末調整で反映すること、源泉徴収票のみなし提出が始まることが大きな変更点です。給与ソフトの対応と提出先の案内を11月中に確認し、余裕を持って進めましょう。

出典