令和8年分(2026年分)の法定調書合計表と給与支払報告書の提出期限は、1月31日が日曜日にあたるため、2027年2月1日(月)です。さらに今回から、給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署への給与所得の源泉徴収票の提出は不要になる「みなし提出の特例」が始まります。

この記事は、パートやアルバイトを雇う飲食店・小売店の経営者や、給与・経理を担当する方に向けたものです。「税務署に何を出し、市区町村に何を出すのか」が毎年あいまいになりがちな方に、提出先ごとの違いを整理します。

以下では、法定調書合計表と給与支払報告書の違い、源泉徴収票の提出範囲の変更、報酬・料金や店舗家賃の支払調書、パート・短期バイトの扱い、電子提出の義務、特別徴収と普通徴収の考え方を順に説明します。最後にチェックリストとよくある質問をまとめます。

法定調書合計表と給与支払報告書の違い

二つの書類は、出す先も中身も違います。法定調書合計表は税務署に出す書類で、源泉徴収票や支払調書の件数・金額をまとめた「表紙」のようなものです。給与支払報告書は市区町村に出す書類で、従業員一人ひとりの給与額などを知らせ、翌年度の住民税の計算に使われます。

給与支払報告書は、原則として受給者の2027年1月1日現在の住所地の市区町村に提出します。年の途中で退職した人は、退職時の住所地の市区町村に出します。従業員が複数の市区町村に住んでいれば、市区町村ごとに分けて提出します。

書類提出先主な中身令和8年分の提出期限
法定調書合計表税務署税務署に出す源泉徴収票・支払調書の件数と金額の合計2027年2月1日(月)
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書税務署税理士などへの報酬の支払先ごとの金額2027年2月1日(月)
不動産の使用料等の支払調書税務署家賃などの支払先ごとの金額2027年2月1日(月)
給与支払報告書(総括表・個人別明細書)受給者の1月1日現在の住所地の市区町村従業員ごとの給与額・源泉徴収税額など2027年2月1日(月)

給与支払報告書は、事業所全体の情報を書く「総括表」と、従業員ごとの「個人別明細書」をセットで出します。東京都の案内では、提出期限は「毎年1月31日まで」とされていますが、国税庁の令和8年分の手引では、給与支払報告書も含め期限を2027年2月1日(月)と案内しています。

源泉徴収票の提出範囲が変わった(みなし提出の特例)

令和7年分までと令和8年分からの違い

これまで、税務署に出す給与所得の源泉徴収票は一部の人だけでした。年末調整をした人の場合、法人の役員は年150万円超、弁護士・税理士等は年250万円超、それ以外の人は年500万円超が提出の対象でした。

令和8年分からは、源泉徴収票の提出範囲が給与支払報告書と同じになりました。年の途中で退職した人で、その年の支払額が30万円以下の人を除き、役員も含めてすべての受給者が対象です。

区分(年末調整をした人)令和7年分まで(税務署)令和8年分から(税務署・市区町村共通)
法人の役員年150万円超原則すべて
弁護士・税理士等年250万円超原則すべて
上記以外の従業員年500万円超原則すべて
年の途中で退職した人(上記の区分による)支払額30万円以下なら提出不要

みなし提出の特例とは

提出範囲が広がる代わりに、2027年1月1日以後に令和8年分の給与支払報告書を市区町村に提出すれば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされます。つまり、店舗側の作業は「市区町村に給与支払報告書を出す」ことが中心になります。紙で提出した場合も特例の対象です。

ただし、従業員本人に渡す源泉徴収票は、引き続き全員分を作成・交付する必要があります。また、給与支払報告書を出さずに税務署へ源泉徴収票を出す方法を選んだ場合は、市区町村への給与支払報告書の提出が別に必要になります。

報酬・料金と店舗家賃の支払調書

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

税理士や弁護士などへの報酬、作家や画家への原稿料・画料、講演料などは、同一人への年間の支払額の合計が5万円を超えると、支払調書の提出対象です。たとえば顧問税理士に月3万円を払っている場合、3万円×12か月=36万円となり、5万円を超えるので提出が必要です。

法人に支払う報酬でも、源泉徴収の対象とならないものを含め、提出範囲に当たれば対象とされています。外部のデザイナーやカメラマンへの支払いが対象の区分に当たるかは、手引の区分表で確認してください。

不動産の使用料等の支払調書(店舗家賃)

店舗の家賃などは、同一の人への年間の支払額の合計が15万円を超えると、不動産の使用料等の支払調書の提出対象です。提出が必要なのは法人と、不動産業を営む個人などで、不動産業ではない個人事業主の飲食店・小売店は対象外です。

法人に払う家賃は提出不要で、権利金や更新料などだけを報告します。たとえば法人の店舗で、個人の大家さんに月20万円の家賃を払っている場合、20万円×12か月=240万円となり提出が必要です。管理会社を通じて個人の大家さんに払っている場合も、大家さん個人への支払いとして扱います。

支払の例提出の目安(同一人・年間)主な注意点
税理士・弁護士などへの報酬5万円超法人への支払いも提出範囲に当たれば対象
原稿料・画料・講演料など5万円超区分は手引の表で確認
個人の大家さんへの店舗家賃15万円超提出義務者は法人と不動産業者である個人など
法人の大家さんへの支払い15万円超家賃は不要。権利金・更新料などのみ

パート・アルバイト・短期バイトの扱い

給与支払報告書は、パート・アルバイトを含め、2026年中に給与を払った人全員が原則として対象です。12月31日時点で在籍している人は、支払額が少なくても提出します。

省略できるのは、年の途中で退職し、その年の支払額が30万円以下の人だけです。たとえば夏だけの短期バイトが3人いて、年間の支払額がそれぞれ12万円、28万円、45万円だった場合、提出が必要なのは45万円の1人です。迷ったら提出しておくと、従業員の住民税の計算が正しく行われやすくなります。

特別徴収と普通徴収

所得税を源泉徴収する義務がある事業主は、原則として個人住民税も給与から天引きする「特別徴収」を行う必要があります。パート・アルバイトも、前年に給与を受けていて4月1日時点で在籍していれば対象です。

総従業員数が2人以下、給与が少なく税額を引けない、給与の支払いが毎月でない、退職者または5月末日までの退職予定者などの場合は、本人が自分で納める「普通徴収」にできることがあります。東京都の案内では、給与支払報告書の提出時に普通徴収切替理由書を添え、個人別明細書の摘要欄に理由(普A〜普F)を記入するとされています。様式や記入方法は市区町村ごとに異なるので、提出先の案内を確認してください。

特別徴収の場合、5月31日までに市区町村から特別徴収税額決定通知書が届き、天引きした税額は原則として翌月10日までに納めます。

提出方法と電子提出の義務

税務署への法定調書は、e-Tax、認定クラウド等、光ディスク等(CD・DVD)、書面のいずれかで出せます。給与支払報告書は、eLTAX、光ディスク等、書面で提出できます。eLTAXでは、PCdeskで1人分ずつ入力する方法と、給与ソフトで作ったCSVファイルを取り込む方法があります。

令和8年分からは、電子提出が義務になる枚数の基準が100枚以上から30枚以上に引き下げられました。法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきだった枚数で判定し、2027年に出す分は2025年の枚数で判断します。義務がある種類は、書面では提出できません。

給与支払報告書も、前々年に税務署に提出すべきだった源泉徴収票が30枚以上であれば、eLTAXまたは光ディスク等での提出が必要です。2025年は旧来の範囲(年500万円超など)で判定するため、多くの小規模店舗は対象外と考えられますが、自店の枚数を確認してください。eLTAXで令和8年分の給与支払報告書を送れる日は、2026年9月時点で「未定」とされています。

法定調書合計表の書き方のポイント

合計表は、税務署に提出する法定調書がある限り引き続き必要です。みなし提出の特例を使い、給与所得の源泉徴収票を税務署に出さない場合は、合計表の「1 給与所得の源泉徴収票合計表」欄は記載不要です。報酬・料金や不動産の使用料等の支払調書を出す場合は、それぞれの欄に件数と金額を書きます。

提出媒体欄には、種類ごとに2桁のコード(電子=14、CD=17、DVD=18、書面=30など)を書きます。金額欄には「¥」や「円」は書きません。

提出前チェックリスト

  • □ 2026年中に給与を払った人の一覧(退職者・短期バイトを含む)を作った
  • □ 年の途中で退職し支払額30万円以下の人を区別した
  • □ 従業員ごとの2027年1月1日現在の住所(市区町村)を確認した
  • □ 普通徴収にする人の理由と、提出先の普通徴収切替理由書の様式を確認した
  • □ 市区町村ごとに総括表と個人別明細書をそろえた
  • □ 従業員本人に渡す源泉徴収票を全員分作成した
  • □ 税理士などへの報酬で、同一人に年5万円を超える支払先を確認した
  • □ 個人の大家さんへの家賃が年15万円を超えるか確認した(法人・不動産業者)
  • □ 法定調書の種類ごとに電子提出の義務(前々年30枚以上)を確認した
  • □ e-Tax・eLTAXの利用準備(届出・ソフト)を済ませた
  • □ 2027年2月1日(月)までに提出する日程を組んだ

よくある質問

Q. 令和8年分の提出期限は1月31日ですか。

A. 国税庁の令和8年分の手引では、法定調書・給与支払報告書とも2027年2月1日(月)と案内されています。2027年1月31日が日曜日にあたるためです。ただし年末調整や作成に時間がかかるため、1月中の提出を目標にすると安心です。

Q. みなし提出の特例があれば、合計表は出さなくてよいですか。

A. 報酬・料金や不動産の使用料等の支払調書など、税務署に出す法定調書がほかにあれば、合計表は引き続き必要です。給与所得の源泉徴収票を税務署に出さない場合は、その欄の記載が不要になります。

Q. 年末に在籍しているが、月数万円しか払っていないアルバイトも出しますか。

A. はい。省略できるのは年の途中で退職し、支払額が30万円以下の人だけです。12月31日時点で在籍している人は、金額にかかわらず提出します。

Q. 個人事業主の店舗で、個人の大家さんに家賃を払っています。支払調書は必要ですか。

A. 不動産の使用料等の支払調書の提出が必要なのは、法人や不動産業を営む個人などです。不動産業ではない個人事業主の店舗は、原則として対象になりません。

まとめ

  • 令和8年分の法定調書合計表と給与支払報告書の期限は2027年2月1日(月)
  • 合計表と支払調書は税務署へ、給与支払報告書は受給者の1月1日現在の住所地の市区町村へ
  • 源泉徴収票の提出範囲は給与支払報告書と同じになり、給与支払報告書を出せば税務署への提出はみなし提出となる
  • 年の途中で退職し支払額30万円以下の人は提出を省略できる
  • 税理士などへの報酬は年5万円超、個人への店舗家賃は年15万円超が支払調書の目安
  • 電子提出の義務は種類ごとに前々年30枚以上で判定する

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