令和8年分(2026年分)の所得税の確定申告期限は2027年3月15日(月)、個人事業者の消費税・地方消費税の申告期限は2027年3月31日(水)です。申告期間は原則として2月16日から3月15日までですが、帳簿の締めや書類集めは年明けすぐに始めないと間に合いません。

この記事は、飲食店や小売店を個人で経営しているオーナーと、その経理を担当している家族・スタッフに向けて書いています。白色申告の方にも参考になりますが、主に青色申告の個人店を想定しています。

記事では、2027年の申告・納付スケジュール、必要書類、令和8年分の改正点、青色申告決算書とe-Tax、予定納税、インボイス登録事業者の消費税、よくあるミスを、国税庁の公表資料をもとに順に整理します。

2027年の確定申告スケジュール(令和8年分)

国税庁の「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」では、令和8年分の期限と振替納税の引落日が次のとおり示されています。所得税と消費税で期限も引落日も違う点に注意してください。

項目申告・納付期限振替納税の振替日
所得税及び復興特別所得税(確定申告)2027年3月15日(月)2027年4月23日(金)
個人事業者の消費税及び地方消費税(確定申告)2027年3月31日(水)2027年4月30日(金)
所得税の延納分2027年5月31日(月)2027年5月31日(月)

所得税の申告期間は、国税庁のタックスアンサーで「原則として、その年の翌年2月16日から3月15日まで」とされています。2027年は2月16日が火曜日です。

振替納税を使うと、期限内に申告していれば上の振替日に指定口座から引き落とされます。引落日の前日までに残高を確保しておきましょう。

月別のやることリスト

時期やること
12月末〜1月上旬12月31日時点の棚卸、現金・預金残高の確認、売掛金・買掛金の締め
1月1年分の帳簿の入力完了、減価償却の計算、控除証明書の収集
2月青色申告決算書の作成、所得税の申告書作成、消費税の計算
2月16日〜3月15日所得税の確定申告書を提出(e-Taxまたは書面)、納付
3月31日まで消費税・地方消費税の確定申告書を提出、納付
4月下旬振替納税の引落(所得税4月23日、消費税4月30日)

確定申告の前にそろえる書類

飲食店・小売店の確定申告では、日々の売上と仕入を集計した帳簿が土台になります。そのうえで、経費の根拠となる書類と、所得控除の証明書をそろえます。

  • 帳簿:仕訳帳・総勘定元帳(青色申告で55万円・65万円控除を受ける場合は複式簿記)、現金出納帳
  • 売上の資料:レジの日計表・売上集計、キャッシュレス決済の入金明細、デリバリーサービスの売上明細
  • 仕入・経費の資料:仕入先の請求書・納品書、領収書・レシート、家賃・水道光熱費・通信費の明細
  • 源泉徴収票:給与収入がある場合や、報酬から源泉徴収された場合の支払調書など
  • 控除証明書:国民年金・国民健康保険の保険料、生命保険料・地震保険料、小規模企業共済、iDeCo、ふるさと納税など
  • 棚卸表:12月31日時点の食材・酒類・商品・消耗品の在庫
  • 固定資産台帳:厨房機器・内装・レジなどの取得日・取得価額と減価償却費の計算

マイナポータル連携を使うと、国民年金などの社会保険料、生命保険料、ふるさと納税、iDeCoなどの証明書データを申告書に自動入力できます。事業所得のデータは連携の対象外なので、売上や経費は自分で帳簿から入力します。

令和8年分の主な改正点

基礎控除と給与所得控除の見直し

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除が引き上げられました。国税庁のQ&Aでは、合計所得金額2,350万円以下の場合の基本の控除額が58万円から62万円になるとされ、居住者には所得に応じた上乗せの特例もあります。適用は令和8年分以後の所得税です。

給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に引き上げられました。家族を専従者でなく給与で雇っている場合や、オーナー自身に給与収入がある場合に関係します。

少額減価償却資産の特例が40万円未満に

中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、取得価額の上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。年間合計300万円までを限度に、一括で経費(必要経費・損金)にできる制度で、中小企業庁は適用期限を令和11年3月31日までとしています。

国税庁の法人向け改正概要では、令和8年4月1日以後に取得する資産から適用されると説明されています。個人事業者に適用する場合の取得時期の要件や青色申告であることなどの条件は、令和8年分の確定申告の手引きで確認してください。

青色申告決算書とe-Tax・スマホ申告

青色申告の個人店は、確定申告書に青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表など)を添付して提出します。青色申告特別控除の額は、要件によって65万円・55万円・10万円に分かれます。

控除額主な要件
65万円55万円の要件を満たし、e-Taxで期限内に申告する、または優良な電子帳簿保存を行う
55万円正規の簿記(一般的に複式簿記)で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告する
10万円上記に当てはまらない青色申告者

55万円・65万円の控除は、還付申告であっても3月15日の期限までに提出することが条件です。期限を1日でも過ぎると10万円控除になるため、所得税の期限は特に意識してください。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、所得税・消費税の申告書と青色申告決算書・収支内訳書を作成し、e-Taxで送信できます。スマホ用電子証明書を登録しておけば、マイナンバーカードを読み取らずにスマホから送信することも可能です。青色申告の詳しい要件は、関連記事「個人経営の店の青色申告」もあわせてご覧ください。

予定納税とインボイス登録事業者の消費税

予定納税(7月・11月)

前年分の所得をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上の場合は、予定納税が必要です。原則として基準額の3分の1ずつを、第1期分(7月1日〜7月31日)と第2期分(11月1日〜11月30日)に納めます。

令和8年分の予定納税は、第1期が2026年7月31日(金)、第2期が2026年11月30日(月)が納期限です。確定申告書には、すでに納めた予定納税額を忘れずに記入してください。

2割特例は令和8年分の申告が最後

免税事業者からインボイス発行事業者になった個人事業者の2割特例は、「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」が対象です。個人事業者の課税期間は暦年なので、令和8年分(2027年3月31日期限の申告)が最後の適用となります。

国税庁は、個人事業者は令和9年分・令和10年分の申告について3割特例を適用できると案内しています。3割特例の詳しい適用要件は国税庁のインボイス制度特設サイトで確認し、詳細は関連記事「インボイス2割特例が終了」で解説しています。

2割特例は事前の届出が不要で、消費税の確定申告書に適用を受ける旨を付記して適用します。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合など、もともと免税事業者になれない課税期間は対象外です。

よくあるミスとチェックリスト

個人店の確定申告で多いのは、期限や控除額に直結するミスです。特に次の点は提出前に確認しておきましょう。

  • 所得税(3月15日)と消費税(3月31日)の期限を混同し、所得税の期限を過ぎて青色申告特別控除が10万円に下がる
  • 12月31日の棚卸を行わず、仕入をすべてその年の経費にしてしまう
  • 30万円・40万円前後の厨房機器を、要件を確認せずに一括で経費にする
  • 家事関連費(自宅兼店舗の家賃・光熱費、車両費)の按分根拠を残していない
  • 予定納税額を申告書に記入し忘れ、納付額を多く計算する
  • 2割特例の適用を付記し忘れる、または適用できない課税期間に適用する

提出前チェックリスト

  • □ 1月〜12月の売上・仕入・経費の入力が完了し、預金残高と帳簿が一致している
  • □ 12月31日時点の棚卸表を作成した
  • □ 固定資産の減価償却費と少額減価償却資産の計算を確認した
  • □ 源泉徴収票・控除証明書をそろえた(マイナポータル連携も検討)
  • □ 予定納税額(7月・11月分)を申告書に反映した
  • □ 青色申告決算書を作成し、65万円控除のためe-Taxで送信する準備をした
  • □ 所得税は3月15日、消費税は3月31日までに提出する日程を決めた
  • □ 振替納税の口座残高を4月23日・4月30日の引落に向けて確保した

よくある質問

Q. 所得税と消費税の申告は同じ日に出さないといけませんか。

A. 同じ日である必要はありません。令和8年分は所得税が2027年3月15日、個人事業者の消費税が2027年3月31日までです。ただし消費税の計算には売上・仕入の集計が必要なので、所得税と一緒に準備すると効率的です。

Q. 2月16日より前に申告書を提出できますか。

A. 申告期間は原則2月16日からです。還付申告の場合は取扱いが異なるため、国税庁のタックスアンサー「還付申告」で確認してください。

Q. 振替納税なら3月15日に残高がなくても大丈夫ですか。

A. 期限内に申告していれば、所得税は2027年4月23日、消費税は2027年4月30日に引き落とされます。引落日に残高不足だと振替できないため、事前に入金しておきましょう。

Q. 2割特例が使えなくなった後はどうなりますか。

A. 国税庁は、個人事業者は令和9年分・令和10年分の申告について3割特例を適用できると案内しています。簡易課税との比較も含め、早めに試算しておくと安心です。

まとめ

令和8年分の確定申告は、所得税が2027年3月15日(月)、個人事業者の消費税が2027年3月31日(水)までです。振替納税の引落日は所得税が4月23日(金)、消費税が4月30日(金)です。

令和8年分は基礎控除・給与所得控除の見直しや、少額減価償却資産の特例の見直しがありました。インボイス登録事業者の2割特例は、個人事業者は令和8年分の申告が最後になります。

1月中に帳簿・棚卸・減価償却を締め、2月中に決算書と申告書を作成すれば、期限に余裕を持って提出できます。65万円控除を確実に受けるため、e-Taxでの期限内申告を基本にしましょう。

出典