IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わり、2026年9月29日(火)17:00に通常枠やインボイス枠などの締切を迎えます。インボイス枠(インボイス対応類型)では、ソフトウェアに加えてレジ・券売機等のハードウェアも最大20万円、補助率1/2以内で補助対象になります。
POSレジの入れ替えや、予約・顧客管理システムの導入を考えているスーパー、コンビニ、ドラッグストア、飲食店、居酒屋、カフェにとって、使い勝手のよい補助金です。2027年4月に予定されている食品の消費税率1%への引き下げに向け、レジの設定変更や買い替えを検討している店舗も多いでしょう。
この記事では、枠の種類と補助額・補助率、ハードウェアの扱い、IT導入支援事業者と進める申請の流れ、gBizIDプライムとSECURITY ACTIONの準備、締切の確認方法を解説します。数字は2026年9月27日時点で公式サイトで確認できたものに限っています。申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。
デジタル化・AI導入補助金とは:IT導入補助金からの改称
中小企業庁の資料によると、令和7年度補正予算から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に改称されました。正式な事業名は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」で、事務局サイトは中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。
中小企業や小規模事業者が、ソフトウェアやクラウドサービスなどのITツールを導入する費用の一部を補助する仕組みは、IT導入補助金と同じです。改称により、AIを含むITツールの導入支援が強調されています。
補助の対象になるのは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供し、登録されたITツールだけです。家電量販店で買ったタブレットや、自分で契約したアプリは対象になりません。
枠の種類と補助額・補助率
2026年度の申請枠は、事務局サイトで次の5つが示されています。
| 枠・類型 | 主な対象 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 業務プロセスを持つソフトウェア、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費 | 1プロセス以上:5万円〜150万円未満4プロセス以上:150万円〜450万円以下 | 1/2以内(条件により2/3以内) |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度に対応し、「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェアとハードウェア | ソフトウェア:50万円以下の部分と50万円超〜350万円以下の部分PC・タブレット等:10万円以下レジ・券売機等:20万円以下 | ソフトウェア50万円以下の部分:3/4以内(小規模事業者4/5以内)50万円超の部分:2/3以内ハードウェア:1/2以内 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 取引先と共通で使う受発注システムなど | 公募要領で確認 | |
| セキュリティ対策推進枠 | IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービス | 5万円〜150万円 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 商店街など複数の事業者が連携して行う導入 | 公募要領で確認 | |
通常枠:予約システムや顧客管理に
通常枠は、顧客対応・販売支援、決済管理、在庫・物流、会計・財務などの「プロセス」を1種類以上持つソフトウェアが対象です。飲食店の予約管理システムや、小売店の在庫管理・顧客管理システムはこちらが候補になります。
補助率は原則1/2以内です。地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合などに、2/3以内になります。詳しい条件は公募要領で確認してください。
インボイス対応類型:POSレジの導入に
POSレジのように「決済」や「会計」の機能を持ち、インボイス制度に対応したソフトウェアは、インボイス対応類型が候補です。50万円以下の部分は1機能以上、50万円超の部分は2機能以上が必要です。
ソフトウェアの補助率は、50万円以下の部分が中小企業で3/4以内、小規模事業者で4/5以内です。小規模事業者が40万円のPOSレジソフトを導入する場合、補助額は最大32万円(40万円×4/5)が目安になります。
ハードウェア(PC・タブレット・レジ)の扱い
ハードウェアが補助対象になるのは、インボイス対応類型です。通常枠はソフトウェアの導入が必須で、事務局の通常枠ページではハードウェアの補助は示されていません。
| 区分 | 例 | 補助率 | 補助額の上限 |
|---|---|---|---|
| PC・タブレット等 | POSアプリを動かすタブレット、事務用PC | 1/2以内 | 10万円 |
| レジ・券売機等 | POSレジ本体、券売機 | 1/2以内 | 20万円 |
ハードウェアだけの申請はできず、ソフトウェアと組み合わせる必要があります。たとえば30万円のレジ本体なら、補助率1/2で15万円が補助額の目安です。50万円のレジ本体なら1/2は25万円ですが、上限の20万円までになります。
申請の流れ:IT導入支援事業者と一緒に進める
事前準備:gBizIDプライムとSECURITY ACTION
すべての申請枠で、gBizIDプライムのアカウントと、IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」の宣言(★一つ星または★★二つ星)が必要です。事務局サイトでは、gBizIDプライムの発行に約2週間、SECURITY ACTIONに約2〜3日かかる目安が示されています。
申請から交付決定まで
- 事務局サイトと公募要領で制度を理解する
- gBizIDプライムを取得し、SECURITY ACTIONを宣言する
- IT導入支援事業者とITツールを選ぶ(事務局サイトで検索可能)
- IT導入支援事業者と事業計画を作り、申請マイページで情報を入力して提出する
- 交付決定の連絡を受けてから、契約・導入・支払いを行う
- 事業実績報告を行い、補助金を受け取る
IT導入支援事業者は、POSレジや予約システムの販売会社などが登録しています。申請の入力は事業者本人が行い、宣誓したうえで提出する点に注意してください。
賃上げ要件と加点
中小企業庁の資料では、通常枠で4プロセス以上のITツールを導入する場合、1人当たり給与支給総額を年平均成長率3%以上増やすことなどの賃上げ要件が示されています。賃上げ計画の策定やクラウド型ツールの選択などは、審査で加点の対象になります。
締切スケジュールの確認方法と消費税1%への備え
2026年9月以降の締切
事務局の「事業スケジュール」ページでは、2026年9月27日時点で次の締切が公表されています。
| 枠 | 締切日 | 交付決定日(予定) |
|---|---|---|
| 通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年11月9日(月) |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 2026年10月30日(金)17:00 | 2026年12月10日(木) |
通常枠の事業実施期間は、交付決定から2027年4月30日(金)までです。事務局は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」としているため、次の締切は事業スケジュールページを定期的に確認してください。
食品の消費税1%に向けたレジ改修での活用
食品の消費税率が1%に下がると、スーパーやコンビニでは税率設定の変更、飲食店ではテイクアウトと店内飲食の税率の切り替えが必要になります。古いレジで設定変更ができない場合、インボイス対応類型でPOSレジソフトとレジ本体を一緒に入れ替える方法が考えられます。
レジ改修には時間がかかるとされるため、早めにIT導入支援事業者へ相談しましょう。税率変更の内容と日程は、ストアガイドの関連記事「食品の消費税1%」で確認してください。
申請前のチェックリスト
- □ gBizIDプライムのアカウントを取得したか(約2週間)
- □ SECURITY ACTIONの★一つ星または★★二つ星を宣言したか
- □ 導入したいPOSレジ・予約システムが登録ITツールか確認したか
- □ IT導入支援事業者から見積もりと補助額の目安をもらったか
- □ 通常枠とインボイス対応類型のどちらが合うか確認したか
- □ ハードウェアの上限(PC・タブレット等10万円、レジ・券売機等20万円)を踏まえて予算を組んだか
- □ 交付決定前に契約・支払いをしていないか
- □ 事業スケジュールページで次の締切を確認したか
よくある質問
Q. IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は別の制度ですか?
A. IT導入補助金が改称されたもので、ITツールの導入費用を補助する基本的な仕組みは同じです。ただし枠や要件は年度ごとに変わるため、2026年度の公募要領を確認してください。
Q. タブレットだけ買い替えたい場合も対象ですか?
A. ハードウェアだけの申請はできません。インボイス対応類型で、対象ソフトウェアとあわせて導入する場合に、PC・タブレット等が最大10万円、補助率1/2以内で対象になります。
Q. 9月29日の締切に間に合わない場合はどうすればよいですか?
A. 次の締切は、事務局の事業スケジュールページで公表されます。gBizIDプライムとSECURITY ACTIONを先に準備しておくと、次の回に申請しやすくなります。
Q. 予約システムはどの枠で申請しますか?
A. 顧客対応・販売支援などのプロセスを持つソフトウェアなら、通常枠が候補です。決済機能を持つなど、インボイス対応類型の要件を満たす場合もあるため、IT導入支援事業者に確認してください。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金2026は、旧IT導入補助金の後継で、POSレジや予約システムの導入に使えます。POSレジは、ソフトウェアとレジ本体をまとめて申請できるインボイス対応類型が有力な選択肢です。
申請にはgBizIDプライムとSECURITY ACTIONが必要で、IT導入支援事業者と一緒に進めます。食品の消費税1%への対応も見据え、事業スケジュールと最新の公募要領を確認して早めに準備を始めてください。